KiCadを使って電子回路の設計を始めるにあたって、最初に必要なのがシンボルライブラリの設定と、回路図エディターの基本操作を理解することです。
今回は、初回起動時に表示されるダイアログから、画面操作、ショートカット設定、回路図シートの設定までを、ステップ毎に解説していきます。
シンボルライブラリテーブルとは?
KiCadをインストール後、回路図エディターを初めて開くと表示されるのが「グローバルシンボルライブラリテーブルの設定」ダイアログです。
このテーブルは、KiCadが参照するシンボルライブラリの一覧と場所を管理するためのものです。

おすすめの設定:デフォルトのライブラリをコピー
通常は、インストール時に標準ライブラリも自動的にインストールされると思います。なので、大半のユーザーは、以下のオプションを選ぶことが推奨されます。
「デフォルトのグローバルシンボルライブラリテーブルをコピー(推奨)」
この設定は初回起動時にだけ表示され、選択した項目に基づき初回設定を自動で行ってくれます。あとから変更する場合はマニュアル操作で少し手間がかかるので、最初にしっかり確認して選択しておくことを推奨します。
ライブラリの場所を手動で指定する場合
もし、ライブラリが自動で見つからない場合(カスタムインストール時など)は、以下のオプションを選びます:
「カスタムグローバルシンボルライブラリテーブルをコピー」
その後、フォルダーアイコンをクリックして、シンボルライブラリテーブルの場所を指定します。
デフォルトでインストールされている場合は、下記のパスから sym-lib-table
を選択します。日本国内で代表的なOSについてを下表に示します。使用するOSによって指定パスの情報が異なりますので注意しましょう。
OS | デフォルトのライブラリパス |
---|---|
Windows | C:\Program Files\KiCad\9.0\share\kicad\template\ |
Linux | /usr/share/kicad/template/ |
macOS | /Applications/KiCad/KiCad.app/Contents/SharedSupport/template/ |
回路図エディターの基本操作
移動とズーム
- パン(画面の移動):右クリック or 中ボタンをドラッグ
- ズームイン/アウト:
- ホイール回転
- または、キーボードの F1(拡大)/F2(縮小)
- ズームの中心設定:カーソル位置が中心になります
ノートPC使用時は、マウス操作をタッチパッド向けにカスタマイズするのもおすすめです。

設定場所:
マウス操作の設定は、プロジェクトウィンドウ他のメニュー「設定」→「設定」→「マウスとタッチパッド」で表示される項目から変更が可能です。

ワンポイント:
デフォルト設定では「ズーム時にカーソルを中央に配置」がオンになっています。多くのユーザーはこのままで問題ないと思いますが、一部のEDAを使い慣れている人には違和感を感じる事があるかも知れません。もし使いにくいと感じる場合はオフにしてみる等、設定項目をカスタマイズしてみましょう。


ツールバーの構成とホットキーの活用
ツールバーの配置
- 左側:表示や設定に関するツール
- 右側:編集や作図に関する機能
使用頻度の高いものほど右に、たまに変更する設定は左に、という構成になっています。

ホットキー(ショートカット)の活用
KiCadには多くのエディターでホットキーが割り当てられています。
- 確認:「ヘルプ」→「ホットキー一覧」
- カスタマイズ:「設定」→「ホットキー」パネル
自分の使いやすい操作に変更して作業効率をアップさせましょう!

回路図シートの設定を忘れずに
「ファイル」→「ページ設定」で行えること
- タイトルや日付の入力
- 用紙サイズの変更(例:A4 → A3)
上記の他にもいろいろな項目を入力、編集できます。また、回路図エディターの新規プロジェクト作成直後、デフォルトのシートサイズは「A4横」になっています。
複雑な回路で1ページに収まりきらない場合は、A3など大きめの用紙に設定してから回路図を描画していくと良いでしょう。

KiCadの回路図では、シンボルの拡大・縮小はできません。図面サイズを変えることで対応しましょう。

まとめ
- 初回起動時にシンボルライブラリテーブルの設定をしっかり行おう
- 回路図エディターの操作方法を理解すると、作業がスムーズに
- ホットキーの活用とカスタマイズで作業効率を上げよう
- ページ設定は最初に済ませておくのが吉!
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