【KiCad ver.9】PCBエディター上へ回路図にない部品を追加する

プリント基板(PCB)のレイアウト作業を進めていると、

「回路図にはないけれど、PCB上には追加したい部品」

が出てくることがあります。

例を挙げるのであれば、以下のような部品があります。

  • 電源ラインのノイズを抑えるためのデカップリングコンデンサ
  • 信号の観測用に設けるテストピン
  • 一時的に使用するジャンパーやパッド

今回は、KiCadのPCBエディター上で、回路図に含まれない部品を追加する方法と、その際に注意すべきポイントについて解説します。


本来推奨される方法とは?

まず大前提として、部品を追加するのであれば、回路図(スキマティック)に戻って追加するのが正しい手順です。

正しいフロー(推奨):

  1. 回路図エディターで部品を追加
  2. フットプリントを割り当て
  3. ネットリストを更新
  4. PCBエディターで再読み込み・同期

これにより、回路図とPCBレイアウトが常に一致し、履歴管理も正確になります。

⚠️【注意】
デバッグや試作だからといってPCBだけ編集してしまうと、将来、誰かが設計を引き継いだ際に混乱が起きる原因になります。


それでもPCB上に直接部品を追加したい場合がある

とはいえ、実務では「どうしてもPCBファイルしかない」「とにかく今すぐ追加したい」といったケースも少なくありません。

たとえば

  • 他人からもらったGerberファイルを逆解析して作業する場合
  • 開発初期の試作段階で一時的に追加が必要だが、量産品には反映したくない

そういった場合には、PCBエディター上でフットプリントを直接追加する方法が必要になります。


PCBエディター上でのフットプリント追加手順

① フットプリント配置モードに入る

メニューを起動する方法は3つあります

  • メニュー:配置フットプリントを配置
  • 右側ツールバーのアイコンをクリック
  • ホットキー:「A」キーを押す

② フットプリントを選択

「フットプリントを選択」ダイアログが表示されるので、検索して目的のフットプリントを選びます。

選んだら「OK」を押して、レイアウト内の任意の場所に配置しましょう。


③ ネット接続を手動で割り当てる

このままでは配置したフットプリントにラッツネスト(配線ガイド線)が表示されません。これは、部品にネット(接続情報)が割り当てられていないためです。

パッドにネット名を割り当てる手順:

  1. 対象のパッドをクリックして選択
  2. 右クリック → プロパティ を選択
  3. 「ネット名」項目で接続先ネットを指定
  4. 「OK」で確定

④ プロパティパネルを常時表示すると便利!

編集エリアに余裕がある場合は、プロパティパネルを常に表示しておくと効率がアップします。

  • メニュー:表示パネルプロパティ

これを表示しておくと、ネット名をドロップダウンから選ぶだけで即時反映され、右クリック→ダイアログの手間が省けます。


まとめ:やむを得ない場合の「裏技」的テクニック

回路図を変更できない状況でも、KiCadではPCBエディター上で直接フットプリントを追加し、接続情報まで手動で設定することが可能です。

ただし、この方法はあくまでも例外的な手段と考えてください。


✅ 最後にポイントをおさらい!

  • 基本は「回路図に追加 → PCBに反映」が正解
  • やむを得ない場合に限り、PCB上で直接配置も可能
  • 配置後はネット情報の割り当てを忘れずに!
  • プロパティパネルの活用で作業効率UP