プリント基板(PCB)のレイアウト作業を進めていると、
「回路図にはないけれど、PCB上には追加したい部品」
が出てくることがあります。
例を挙げるのであれば、以下のような部品があります。
- 電源ラインのノイズを抑えるためのデカップリングコンデンサ
- 信号の観測用に設けるテストピン
- 一時的に使用するジャンパーやパッド
今回は、KiCadのPCBエディター上で、回路図に含まれない部品を追加する方法と、その際に注意すべきポイントについて解説します。
本来推奨される方法とは?
まず大前提として、部品を追加するのであれば、回路図(スキマティック)に戻って追加するのが正しい手順です。
正しいフロー(推奨):
- 回路図エディターで部品を追加
- フットプリントを割り当て
- ネットリストを更新
- PCBエディターで再読み込み・同期
これにより、回路図とPCBレイアウトが常に一致し、履歴管理も正確になります。
⚠️【注意】
デバッグや試作だからといってPCBだけ編集してしまうと、将来、誰かが設計を引き継いだ際に混乱が起きる原因になります。
それでもPCB上に直接部品を追加したい場合がある
とはいえ、実務では「どうしてもPCBファイルしかない」「とにかく今すぐ追加したい」といったケースも少なくありません。
たとえば
- 他人からもらったGerberファイルを逆解析して作業する場合
- 開発初期の試作段階で一時的に追加が必要だが、量産品には反映したくない
そういった場合には、PCBエディター上でフットプリントを直接追加する方法が必要になります。
PCBエディター上でのフットプリント追加手順
① フットプリント配置モードに入る
メニューを起動する方法は3つあります
- メニュー:
配置
→フットプリントを配置

- 右側ツールバーのアイコンをクリック

- ホットキー:「A」キーを押す
② フットプリントを選択
「フットプリントを選択」ダイアログが表示されるので、検索して目的のフットプリントを選びます。

選んだら「OK」を押して、レイアウト内の任意の場所に配置しましょう。
③ ネット接続を手動で割り当てる
このままでは配置したフットプリントにラッツネスト(配線ガイド線)が表示されません。これは、部品にネット(接続情報)が割り当てられていないためです。
パッドにネット名を割り当てる手順:
- 対象のパッドをクリックして選択
- 右クリック →
プロパティ
を選択 - 「ネット名」項目で接続先ネットを指定
- 「OK」で確定

④ プロパティパネルを常時表示すると便利!
編集エリアに余裕がある場合は、プロパティパネルを常に表示しておくと効率がアップします。
- メニュー:
表示
→パネル
→プロパティ

これを表示しておくと、ネット名をドロップダウンから選ぶだけで即時反映され、右クリック→ダイアログの手間が省けます。

まとめ:やむを得ない場合の「裏技」的テクニック
回路図を変更できない状況でも、KiCadではPCBエディター上で直接フットプリントを追加し、接続情報まで手動で設定することが可能です。
ただし、この方法はあくまでも例外的な手段と考えてください。
✅ 最後にポイントをおさらい!
- 基本は「回路図に追加 → PCBに反映」が正解
- やむを得ない場合に限り、PCB上で直接配置も可能
- 配置後はネット情報の割り当てを忘れずに!
- プロパティパネルの活用で作業効率UP