【KiCad ver.9】回路図エディタ・部品表チュートリアル

プリント基板(PCB)設計を進める上で、回路図が完成したら次に必要になるのが「部品表(BOM)」の作成です。
BOM(Bill Of Materials)は、その回路において使用する電子部品を一覧化したリストで、PCB製造はもちろん、手作りで回路を組み立てる際にも必須の資料です。

本記事では、KiCadの回路図エディターで部品表(BOM)を作成する手順とポイントを解説します。


部品表(BOM)とは?

BOM(Bill Of Materials)は、設計に使ったすべての部品の情報や、場合によっては使用したEDAの情報なども含めてリストにまとめたデータのことを呼びます。
部品の種類、型番、数量、メーカー情報など
を明記することで、部品の購入や在庫管理、製造指示に活用することが可能となり、プリント基板製作がスムーズに行えます。


BOMを生成する手順(KiCad 回路図エディター)

① BOM生成メニューを開く

回路図エディターで回路図を描き終えたら、以下の手順でBOMを生成します。

  • メニューから
    [ツール] → [部品表の生成…] をクリック
  • もしくは、画面右側のアイコンから直接実行も可能です。

ダイアログが表示されたら、BOM生成のための設定画面に移ります。


KiCad Ver.8のBOMエクスポート機能の特徴

KiCad Ver.8以降では、BOM出力のUIが大幅に整理され、2つのタブで構成される形式になっています。

【編集】タブ

ここでは、BOMに含める情報の選択と並び替えができます。

  • 各シンボルのプロパティ(部品名、型番、値など)
  • 表示・非表示をチェックで簡単に設定
  • 必要な情報に漏れがないか事前に確認しておきましょう

【エクスポート】タブ

ここでは、ファイル出力の設定プレビュー確認を行います。

  • 出力フォーマットの選択(CSV または TSV)
  • 区切り文字の設定(カンマ/タブ)
  • 出力ファイル名と保存先の指定
  • プレビューで内容確認後、【エクスポート】ボタンをクリック

※旧バージョンでは外部プラグインが必要でしたが、Ver.8ではプラグイン不要の標準機能として完結しています。


出力された部品表の活用方法

エクスポートされたBOMファイル(CSV または TSV形式)は、以下のように活用可能です。

  • ExcelやGoogleスプレッドシートで開いて加工
  • 必要な情報の並び替えや編集
  • 部品注文リストとして使用
  • 製造業者への資料提出

必要に応じて、メーカー名・型番・在庫コードなどのカラムを追加しておくと便利です。


まとめ:BOMの整備は設計の品質につながる!

  • BOM(部品表)は製造にも組み立てにも不可欠な資料
  • KiCad Ver.8では簡単にGUIから出力可能
  • 出力内容の確認・編集を忘れずに!

部品の記録をしっかり残しておくことで、再設計や部品変更時のトラブルも回避できます。
ぜひ設計の一環として、BOM作成を習慣化しておきましょう!


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ABOUT US
KiCadの達人
KiCad歴15年程度。雑誌記事や教育用テキストの執筆経験等複数あり。私大電気電子工学科での指導とフリーランスエンジニアを兼業しながらFab施設の機器インストラクターや企業セミナー講師を歴任し、KiCadの普及と現代の働き方に対応した技術者育成に務める。