エレクトリカルルールチェック(ERC)で電気的なミスを防ごう!
回路図を描き終えて、「目視で問題がなければ大丈夫」と思っていませんか?
目には見えない接続ミスや配線忘れを見つけるために、KiCadには「エレクトリカルルールチェッカー(ERC)」という便利な機能が用意されています。
簡単な回路図を自由に描けるようになったら、大規模な設計に着手する前に、ERCの使い方をしっかりと覚えて活用するクセを付けておきましょう。
ERC(エレクトリカルルールチェック)とは?
ERCとは、回路図の電気的接続が正しいかどうかをチェックするツールです。KiCadでは、以下のような問題を自動的に検出できます。

ERCで検出できる主なエラー
- 未接続のピン
- 複数の電源出力がショートしている
- 電源入力ピンに電源が供給されていない
- ネットラベルのミス
- 未注釈のシンボル
これらは目視では見落としがちなミスですが、ERCを実行すればKiCadが自動処理を実行してくれるので簡単に確認できます。
ERCのチェックルールの設定方法
KiCadでは、ERCでチェックするルールの「重要度」をカスタマイズできます。
変更手順
- 【ファイル】 → 【回路図の設定】を開く
- 【電気的なルール】 → 【違反の重大度】を選択
- チェック項目ごとに重大度を「エラー」「警告」「無視」に変更可能
ただし、安易に無効化せず、必要なレポートは記録する習慣をつけておきましょう!

実際にERCを実行してみよう
シンプルなLED回路でERCを試す
今回は、LEDを点灯させるだけの簡単な回路を例に、実際にERCを実行してみます。

手順
- 回路図エディターのツールバーから【ERC】ボタンをクリック
- 開いたダイアログで【ERCを実行】ボタンを押す

KiCadの標準設定のままでチェックを実行してみましょう。
ERCのエラー表示とその確認方法
エラーがある場合、ERCウィンドウに一覧表示され、回路図上に矢印で場所が示されます。

- ERCウィンドウでエラー項目をクリックすると、該当箇所がハイライト
- 右クリックでそのエラーを「除外」または「クラスごと無視」も可能
ただし、実際には問題がなくても除外せず、記録として残しておいた方が安心です。
よくあるERCエラー:電源入力ピン未駆動エラー
KiCadを使っていると頻繁に、非常に頻繁に遭遇するエラーの一つに、次のようなものがあります。
「Error:電源入力ピンが電源出力ピンによって駆動されていない」
はい出ました(笑)。多くのKiCad初心者が「なんじゃこりゃ?」とWEB検索するキーワードの登場です。

これは、VCCやGNDなどの電源ネットに出力ソースが見つからないというKiCad特有のチェックルールに基づいた警告です。
PWR_FLAGシンボルで解決しよう!
このエラーの解決には、KiCad標準のPWR_FLAGシンボルを使用します。
PWR_FLAGとは?
- フットプリントを持たない特殊シンボル
- 電源ネットに対して「ここが電源です」と、”KiCadに”宣言する目的で使用
使用方法
- ライブラリから「PWR_FLAG」シンボルを呼び出す
- VCCやGNDなどの電源ラインに接続する
- 再度ERCを実行すると、エラーが解消される



ERCはシミュレーターではありません!
大切なポイントとして、ERCでは「回路の動作が正しいかどうか」までは判断できません。
実際の動作確認を回路図の段階で実行したい場合は、KiCadの「シミュレーター機能」を使用する必要があります。

まとめ|ERCは必ず実行しよう!
- 回路図完成後は必ずERCを実行する習慣を!
- 目に見えない接続ミスを防ぎ、基板設計トラブルを回避
- 電源エラーは「PWR_FLAG」で解決
- 重大度設定は慎重に、レポートは記録しておこう
フットプリント割り当ても完了し、ERCの結果もOKとなったら、いよいよPCBエディターで基板レイアウトが可能になります!!
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