【KiCad ver.9】PCBエディターの基本操作

PCBエディターでプリント基板の設計を始めよう

回路図の設計が終わったら、次はプリント基板(PCB)の設計に進みましょう。KiCadのPCBエディターを使うことで、回路図に基づいた基板レイアウトの設計が可能になります。

本記事では、KiCadのPCBエディターの基本操作インターフェースの使い方、基本操作について解説します。


PCBエディターの起動方法

回路図が完成したら、KiCadのプロジェクトウィンドウに戻って、次のいずれかの方法でPCBエディターを起動します:

  • プロジェクトウィンドウの「PCBエディター」ボタンをクリック
  • 回路図エディターの上部ツールバーにある切り替えアイコンをクリック

PCBエディターの基本操作

PCBエディターは、基本的な操作感が回路図エディターとほぼ共通しています。以下の操作は共通です:

  • パン操作:マウスの中ボタンまたは右ボタンをドラッグ
  • ズームイン/アウト:スクロールホイールまたは F1 キー

中央の編集画面では、実際のプリント基板レイアウト(パターンや部品配置)を行います。


インターフェースの構成

■ 左側のツールバー:表示切り替えとレイヤー制御

  • トラック、ビア、パッド、ゾーンなど、PCBを構成する各種要素の表示・非表示を切り替え
  • 表示・非表示の切り替えは編集中のアクティブなレイヤーが基準になるので一部注意が必要

■ 右側のツールバー:各種編集ツール

  • 基板編集に使う配置ツール、配線ツール、寸法ツールなどが配置
  • 一部のボタンにある右下の小さな三角形は、関連ツールが展開できるパレットの印です

▼ 複数ツールの選択方法

  • ボタンを長押ししてパレットを開き、目的のツールをクリック
  • またはボタンをクリックしたまま左にドラッグし、ハイライトされたツール上で離す

外観パネルとフィルターメニューの使い方

■ 外観パネル(Appearance)

  • レイヤーやネットの表示状態、色、不透明度などを設定
  • 作業中のレイヤーを変更したいときは、ここで目的のレイヤーを選択します

■ フィルター(Filter)

  • PCB上のオブジェクト(パッド、テキスト、ラインなど)の選択可否を切り替え
  • 混雑した基板設計時の誤選択防止に非常に便利

いよいよ部品配置(アートワーク)へ

これらの機能を活用することで、回路図の情報を基に基板上へ部品を配置する設計作業、いわゆる「アートワーク」を始めることができます。

アートワークの段階では、以下のポイントに注意しましょう:

  • 部品間の距離や向きに気を配る
  • 放熱や信号線の干渉を考慮する
  • レイヤーの使い分けを意識する

まとめ

  • KiCadのPCBエディターは回路図エディターと共通の操作感
  • 各種ツールや表示設定を使いこなすことで効率よく設計作業が可能
  • 次のステップは、部品の配置とパターン配線

基板設計は最初こそ複雑に感じるかもしれませんが、操作に慣れるととても楽しい工程です!


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ABOUT US
KiCadの達人
KiCad歴15年程度。雑誌記事や教育用テキストの執筆経験等複数あり。私大電気電子工学科での指導とフリーランスエンジニアを兼業しながらFab施設の機器インストラクターや企業セミナー講師を歴任し、KiCadの普及と現代の働き方に対応した技術者育成に務める。