【初心者向け】EDAの基本ワークフローと回路基板設計の流れ
プリント基板の設計を行う際に使われるEDA(Electronic Design Automation)ツールの中でも、フリーウェアでありながら世界中で広く利用されているツールが「KiCad」です。
本記事では、KiCadを基にしながら、EDAの基本的なワークフローや回路図、基板レイアウトの基礎について解説します。
EDAのワークフローは大きく2つに分かれる
KiCadをはじめとする一般的なEDAツールの設計フローは、次の2つのタスクで構成されています。
- タスク1:回路図の作成
- タスク2:基板レイアウトの設計
この順に進めることで、電子回路の設計から製造準備までを効率的に進めることができます。
回路図とは何か?シンボルの役割
回路図は、設計する電子回路の構成を図として表現したものです。
使用する電子部品は「シンボル」と呼ばれる記号で描かれ、以下のような役割を担っています。
- 使用する部品の種類と機能を示す
- 部品同士の接続関係を明示する
シンボルは、JIS(日本工業規格)や国際規格に基づいた形状で描かれており、例えば抵抗器はジグザグ線や長方形、オペアンプは三角形などで表現されます。

回路図には設計に使われるすべての部品のシンボルが配置され、各シンボルにあるピンは配線(ネット)で接続されます。通常は、回路基板のレイアウトを行う前に回路図を描くのが一般的です。
プリント基板とは?フットプリントとパッドの関係
プリント基板(PCB)は、回路図で設計した電子回路を物理的に実装するための基盤になります。ここで重要になるのが「フットプリント」です。
- フットプリント:部品の形状やピン配置に合わせた銅箔パターン
- パッド:部品の端子を半田付けするための露出した銅箔部分

回路図で接続されたピン同士は、基板上の銅箔パターンでつながり、製造後に電子部品をフットプリントの上に配置してはんだ付けすることで、機能する電子回路が完成します。
KiCadで使える主なエディタ
KiCadでは、各工程に特化したエディタが用意されています。
- 回路図エディタ:回路図を描くツール
- PCBエディタ:基板のレイアウトを設計するツール
- シンボルエディタ:新しいシンボルの作成・編集
- フットプリントエディタ:フットプリントの作成・編集

標準で豊富なライブラリが用意されているため、既存のシンボルやフットプリントを選ぶだけでも設計が可能です。もちろん、自作やカスタマイズも簡単に行えます。
プロジェクトベースの設計フローと管理の注意点
KiCadはプロジェクト単位で設計を進めていきます。一つのプロジェクトには以下のようなファイルが含まれます。
- プロジェクトファイル(全体の管理)
- 回路図ファイル
- 基板レイアウトファイル
- 必要に応じて:ライブラリ・シミュレーション・部品情報など

注意点として、必ずKiCadの管理ウィンドウからファイルを開くことが重要です。プロジェクトフォルダ内のファイルを直接開くと、設定や設計情報が失われるリスクがあります。プロジェクト関連ファイルは、まとめて管理・保存しましょう。
まとめ
KiCadを使ったEDAの基本的なワークフローは、「回路図の作成」から「プリント基板のレイアウト設計」までの二段階に分かれています。回路図ではシンボル、基板設計ではフットプリントという概念が重要で、これらをうまく使いこなすことで、実際に動作する電子回路を完成させることができます。
KiCadは初心者にも扱いやすく、豊富なライブラリと柔軟なカスタマイズ性を備えた強力なツールです。ぜひ活用して、電子設計の世界を体験してみてください!
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