KiCadとは?
KiCad(キキャド)は、無料で利用できるオープンソースの電子設計自動化(EDA)ソフトウェアです。プリント基板(PCB)の設計や回路図の作成が可能で、商用ソフトに匹敵する機能を備えています。特に、オープンソースでありながら強力な機能を持つため、プロからホビーユーザーまで幅広く利用されています。

KiCadの主な特徴
- 無料&オープンソース:誰でも自由に利用・改良が可能
- 回路図エディタ:判り易い直感的な操作で電子回路を設計
- PCBエディタ:複雑な多層基板のレイアウトも作成可能
- 3Dビューア:基板の3D表示が可能
- 多彩なライブラリ:部品やフットプリントが豊富に用意されています
これまでにも各バージョン毎にKiCadとはどういったものか?について触れてきました。
よろしければ、そういった別記事も併せてご覧頂ければ幸いです。
本記事では、KiCadのダウンロードからインストールまでの手順について、改めて詳しく解説していきたいと思います。
KiCadの入手方法とインストール手順
1. KiCadのダウンロード
KiCadの公式サイト(https://www.kicad.org/)にアクセスし、最新のインストーラーをダウンロードして入手します。

- 公式サイトのトップページで「Download」ボタンをクリック。
- 使用しているOS(Windows、Mac、Linux)を選択。
- 「Latest stable release」から最新の安定版をダウンロードして下さい。
特にWindows用のインストーラーは、従来通りのWindowsである「x64版」と、Snapdragon系列に代表される「Arm64版」の二種類があります。
使用するPCのシステム環境によって使用するインストーラーが異なりますので注意して下さい。
2. KiCadのインストール(Windowsの場合)

- ダウンロードしたインストーラー(例:
kicad-<version>-x86_64.exe
)をダブルクリック。 - インストーラーが起動するので、「Next」をクリック。
- ライセンス条項を確認し、「I Agree」を選択。
- インストール先を指定(通常はデフォルトのままでOK)。
- コンポーネントの選択(すべて選択したまま推奨)。
- 「Install」ボタンを押してインストール開始。
- インストール完了後、「Finish」をクリック。
3. KiCadの起動と初期設定
インストールが完了したら、デスクトップまたはスタートメニューからKiCadを起動します。

初回起動時に、部品ライブラリのダウンロードが促されることがあります。これまでの設計資産が個別にあり、マニュアルでライブラリの追加が必要な場合以外は、推奨設定のまま進めておくほうがスムーズに設計が始められると思います。
4. KiCadの基本操作を試す
インストールが成功したら、簡単な回路図の作成から始めてみましょう。
プリント基板設計の、大まかな作業フローは以下のようになります。
- KiCadを開き、「新規プロジェクト」を作成。
- 回路図エディタを開いて、基本的な部品(抵抗やコンデンサ)を配置。
- PCBエディタを使って基板レイアウトを作成。
- 3Dビューアで基板の完成イメージを確認。

KiCadは上記の作業フローについて各エディターを使い分けながら進められ、多彩な機能を持ちながら、初心者にも扱いやすいツールになっています。
ちょっと脱線「KiCad」の呼び方
毎回必ず話題になる上に、メチャクチャどうでもいい話題として「”KiCad”の呼び方」があります。時々、この呼び方が間違っている!と激しく指摘される方がいらっしゃいますが、基本的なスタンスとしては、どう呼んでも別にいいのではないかと考えてはいます。
それはそれとしても圧倒的に多いのは「キキャド」で、公式にも「キキャド」読みが使われています。
「ケーアイキャド」と呼ぶ人もいますが、おそらく読み間違いやはじめてKiCadに触れる人が推測から呼んだ読み方でしょう。推測からアルファベット読みするのは自然なことなので、興味を持って頂けて嬉しく思います。
面白いのが「動画配信で海外の人が”キカド”と呼んでいる」と言う方が結構いらっしゃいます。そもそもCAD=キャドが普及しているのにカドは無いよな・・・と思うかも知れませんが、実はヨーロッパ圏の方の発音だと「キャ」が「カ」に聞こえる場合が結構あります。聞き間違い、とは言えませんがリスニング能力の高い方程迷うのかも知れません。
まとめ
KiCadは、開発当初から無料で使用でき、商業利用も可能な高度なPCB設計を可能とするEDAソフトウェアとして世界中で広く利用されています。本記事では、KiCadの概要とインストール方法について改めて解説してみました。他の記事では具体的な回路図作成の手順や色々な機能について紹介していますので、合わせてご覧ください。
是非皆さんもKiCadを活用して、電子設計を楽しんでください!
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