シンボルとは?
回路図エディターで使用する「シンボル」について、今回は詳しくみていこうと思います。
通常、シンボルとは電子部品の「機能を示す記号」であり、抵抗やコンデンサなどの受動部品や、トランジスタや半導体ICのような能動部品が図形として描かれています。一般的にこれらの図形は「回路図記号」と呼ばれます。

KiCadのようなEDA(電子設計自動化)ソフトウェアでは、回路図記号に加えてコネクタや端子台などの機械的な構成を示す記号も含め、これらを総称して「シンボル」と呼びます。

シンボルのプロパティ設定
回路図エディターに読み込んだシンボルのプロパティを開くと、「一般設定」のタブが表示され、内容を確認、編集できます。

このタブでは以下の情報を登録・編集可能です。
- 部品番号(リファレンス)
- 素子の値
- PCBエディターで使用するフットプリント
- データシートのURL など
特に汎用的な記号のシンボルは、多くの項目が空欄になっており、実際に回路を構成する際に値やフットプリントを登録する必要があります。
ピン機能の確認
一般設定タブの隣には「ピン機能」タブがあります。このタブを開くと、シンボルに登録されている番号ごとに以下の情報を確認できます。

- ピンのタイプ
- ピンの表示スタイル
ただし、この画面は確認用で、内容を編集する場合は「シンボルエディター」を使用する必要があります。
半導体ICのシンボルの注意点
抵抗やコンデンサなどの受動部品ではシンプルなシンボルとピン構成ですが、マイコンチップなどの半導体ICのようにピン数が多い場合は注意が必要です。

例えば、マイコンチップ「ATmega328P-M」のシンボルを開くと、以下のような点が受動部品のプロパティと異なります。
- 一般設定の項目にはすでに情報が登録済み
- ピン機能タブで「ピン名」でソートすると、一部のピンがシンボルに存在しないように見える

特に、VCCやGNDに接続するピンが複数あるにもかかわらず、シンボルには1つしか表示されていない場合があります。
シンボルエディターでのピン可視性設定
シンボルエディターでシンボルを開くと、VCCやGNDのピンの一部が色が変わって表示されることがあります。これは「同じ信号のピンは表示を省略する」というKiCadの仕様によるものです。

最近のKiCadでは、電源やGNDピンを1本だけ表示し、残りを非表示にすることで、配線の簡素化が図られています。
これは設計上の利便性を向上させる目的で採用されていますが、検図段階でのチェック漏れを防ぐため、一部の現場ではこの処理を禁止している場合もあります。
そのような環境に対応するには、シンボルエディターでピン設定を変更する必要があります。
- 非表示になっているピンの「可視性」をONに変更
- 可視性をONした場合、重なっている配置をずらすといった対応を行う必要があります。


シンボルエディターでの編集方法
回路図エディター上のサブメニュー「シンボルエディターで編集」を選択すると、回路図上に配置されたシンボルのみを編集できます。

注意点として、この方法では通常、ライブラリに登録されている元のシンボルには変更が反映されません。もしライブラリ全体で統一したい場合は、直接ライブラリのシンボルを編集する必要がありますが、KiCadに標準で登録されているシンボルは基本的に読み取り専用となるので、シンボルエディターを開いた後で新規シンボルとしてコピーを作成する必要があります。

まとめ
KiCadのシンボルについて、基本的な概念からプロパティ設定、ピンの可視性設定まで解説しました。特に、電源ピンの省略処理は便利な一方で注意が必要な点もあるため、使用環境に応じた設定を行うことが重要です。
KiCadを使ってより効率的な回路設計を進めていきましょう!
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