基板外形を描き終えたら、次はフットプリント(電子部品の実装形状)の配置作業に進みます。
この「配置=レイアウト」作業は、基板の性能や製造の効率に大きく関わる重要な工程です。
今回は、KiCadでフットプリントを配置する際に注意すべきポイントと、実際の操作方法について解説します。
フットプリント配置前に確認すべき4つのポイント
フットプリントを適切に配置するためには、以下のような考慮事項があります。
1. 位置が固定される部品への配慮
- コネクタ、LED、スイッチ、ボタンなどは、筐体や外部との接続位置が決まっていることが多く、配置場所に制約があります。

2. 電気的な配置制約
- バイパスコンデンサは、関連するICの電源ピン近くに配置する必要があります。
- アナログ部品は、デジタル回路の信号から干渉を受けにくいよう、十分な距離を取って配置するのが基本です。

3. コートヤード(部品実装余白)の確認
- フットプリントには「コートヤード」と呼ばれる安全な実装のための余白が定義されています。
- コートヤード同士が重ならないように部品を配置しましょう。

4. 配線のしやすさを最優先に
- 回路図で接続されているコンポーネントは、なるべく近くに配置することで配線をシンプルにできます。
- KiCadの「ラッツネスト(補助線)」を活用し、接続先が視覚的に分かるようにしながら配置を検討しましょう。

KiCadでのフットプリント配置操作
実際にKiCad PCBエディターでフットプリントを配置する際の基本操作を紹介します。
フットプリントの移動
- 移動したいフットプリントをクリックして選択。
- ホットキー「M」を押すと、マウスで位置を自由に移動できます。

配置面(表/裏)の変更
- フットプリントを選択。
- ホットキー「F」を押すと、基板の表面・裏面を切り替えて配置できます。

裏面に配置すると、パッドやシルクスクリーンの表示色が自動で裏面レイヤー用に切り替わります。

レイヤー表示と配色に関する注意点
KiCadのPCBエディターは、常に基板の表面側から見た視点で表示されます。
そのため、裏面に配置したフットプリントは左右が反転した鏡像表示になります。
レイヤーの色分け(標準設定)
- 表面導体層(F.Cu) → 赤色
- 裏面導体層(B.Cu) → 緑色
- 内部の導体層(In*.Cu) → 総数に応じて割り当て

色設定のカスタマイズ
- 色が見づらい場合は、メニュー「設定」ダイアログ→「カラー」から配色をカスタマイズ可能。
- 自分にとって視認性の良い配色に調整して、作業効率をアップさせましょう。

まとめ
フットプリント配置は、プリント基板設計の中でも製品性能や品質に直結する重要な作業です。
位置制約や電気的要件、部品間の余白(コートヤード)、配線のしやすさを考慮しつつ、KiCadのツールや機能を活用して効率よく進めましょう。
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