回路図エディターで作成したデータをPCBエディターに取り込むと、端子間の接続情報を持った電子部品(フットプリント)が配置できる状態になります。しかし、この段階では基板自体の形状(外形)はまだ定義されていません。
電子機器に組み込まれるプリント基板(PCB)は、コネクタやLED、固定用の穴や外形形状など、筐体に合わせた位置やサイズが事前に決まっていることが大半です。
KiCadでは、これらの基板外形を「Edge.Cuts」レイヤーにアウトラインを描くことで定義します。

基板外形を定義する「Edge.Cuts」レイヤー
基板の外形は「Edge.Cuts」レイヤーに描いた図形で決定します。このレイヤーは外形専用で、ここに描かれたアウトラインが基板の輪郭として認識されます。

基板外形を描く手順
- 画面右側の「外観」タブから「Edge.Cuts」レイヤーを選択し編集レイヤーを切り替える
- 画面中央のツールバーから以下の6種類のメニューから図形を選んで描画する
- 長方形
- 直線
- 円弧
- 円
- 多角形
- ベジェ曲線(Ver.9から追加)

グリッド間隔を活用して描画を効率化
基板外形を描く際は、グリッド間隔を調整することで作業効率が上がります。

- 大きめのグリッド間隔に設定すると、基板全体の形状や寸法を把握しやすく、アウトラインの大まかな描画に便利です。
- グリッド間隔の変更は、画面上部のドロップダウンメニューや、編集画面上で右クリックして表示されるサブメニューの「グリッド」から変更することができます。

外形線の注意点と編集テクニック
基板の外形線は、交差せずに閉じた形状で描くことで、初めて外形として認識されます。
「四角形」の編集について
- 四角形ツールで描いた直後は、4辺が1つのグループとして定義されています。
- 縦横の寸法変更は可能ですが、「1辺だけを編集する」ことはできません。

フィレットや面取りを行う場合
- 描いた外形ラインを選択
- サブメニューから「形状を変更」や「選択対象から作成」を実行
- これにより角を丸めたり、面取り加工が可能になります。

複雑な外形は外部CADデータをインポート
KiCad上で描くのが難しい複雑な外形の場合、外部CADソフトで作成したDXFなどの2Dデータをインポートする方法もあります。
- メニューの 「ファイル」 → 「インポート」 → 「グラフィックス」 を選択
- 機械CADなどで設計されたデータを読み込む

これにより、自由曲線や複雑な形状も正確に基板外形として取り込めます。
まとめ
基板外形はプリント基板設計において重要な要素です。
KiCadでは「Edge.Cuts」レイヤーに正確なアウトラインを描くことで、基板形状を定義できます。
簡単な形状はKiCad内で描き、複雑なものは外部データをインポートすることで、効率よく基板設計を進めましょう。
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