KiCad Ver.9シリーズに搭載された新機能「ジョブセット」についてご紹介します。この機能を利用することで、回路図やプリント基板の設計・修正作業におけるフィードバックの漏れやバージョンのずれ、データ生成漏れといったトラブルを防ぐことができます。
ジョブセットの準備
まずは、KiCadの管理ウィンドウのメニューからジョブセットファイルを準備しましょう。初めてファイルを作成する場合は、「新規ジョブセットファイル」を選択して設定保存用のファイルを作成してください。すでにジョブセットを登録している場合は、以前の設定を読み込むことも可能です。

ジョブセットファイルを読み込むと、右側の画面に新しいタブが追加されます。従来のKiCadの設定画面と同じレイアウトになっているため、使い慣れた操作で設定を進めることができます。

ジョブの登録
ジョブセットファイルを作成したら、画面下部の「+」アイコンをクリックしてジョブを登録します。
「ジョブのタイプを選択」ウィンドウが開くので、出力したいジョブを選択して追加します。

注意点
- このウィンドウでは、新規ジョブを一つずつしか選択できません。同時に複数選択できないため、「+」ボタンを繰り返し押して必要なジョブを追加する必要があります。
- ジョブの表示順が「PCBエディター → 回路図エディター」となっているため、回路図 → PCBの順で作業を進めたい場合は注意が必要です。
ジョブを選択すると、対応する各エディターが起動し、詳細設定のウィンドウが開きます。必要に応じて各種設定を行ってください。

出力の設定
ジョブセットの登録が完了したら、画面右側で「出力」の設定を行います。新規ジョブセットファイルの初期状態では出力先が未設定のため、「出力」項目はグレーアウトされています。
- 右下の「+」ボタンをクリックし、出力タイプを選択します。
- アーカイブを選択すると、生成されたファイルをまとめたZipファイルが作成されます。
- フォルダを選択すると、指定したフォルダにファイルが保存されます。

現時点での課題と今後の期待
筆者が試した時点では、「回路図のPDF生成」がうまく動作せずジョブセットファイルからは自動生成できませんでした。ただし、DXF形式でのエクスポートは可能だったため、DXFファイルを回路図として代用するか、回路図のPDFは今のところは回路図エディターで個別に生成する必要がありそうです。
ジョブセット機能は設計作業の履歴管理に便利な機能ですが、現時点ではまだ多少改善の余地が残っている印象です。今後のアップデートに期待しつつ、作業の効率化に活用してみてはいかがでしょうか?
コメントを残す