2024年9月7日にKiCad バージョン8.0.5がリリースされました。
自動でバージョン情報を確認する機能はON/OFF選択可能
現在のバージョン8シリーズでは、インストール後のオプション設定で、アプリ起動時に更新の有無を自動的に確認する機能が利用できます。
国際的なプロジェクトで開発が行われているKiCadは、集まった情報を基にした更新、改良が常に行われています。
最新版の有無を自動で確認できるのは便利ですが、気を付けておきたい点もいくつかあります。
プロジェクト進行中は更新を控えた方が吉
まず一つ目として「現在設計中のプロジェクトがある間は更新を控える」ことをお勧めしています。
KiCadの更新は機能追加だけではなく、世界中から集まる情報を基に、深刻なバグの解消や操作上の問題を解消する改良が盛り込まれます。このため、更新のタイミングによってはこれまで使っていた機能の使い方が変更されたり、インターフェイスのレイアウトが変わり作業性が急変する事態に遭遇することがあります。
このため、その時点で使用しているバージョンで作業中の重要なプロジェクトがある場合、リスク回避の観点からその作業を終えるまでの間はバージョンアップの作業を行わないことをお勧めします。
KiCadの更新は公式サイトで配布されるインストーラーをダウンロードして、手動でセットアップを実行する方法で行われます。この方式には意図しない更新が実行されてしまうリスクを防止するメリットもあります。
更新の通知が来たら、公式サイトで最新バージョンのインストーラーをダウンロードし、更新による影響を受けにくいタイミングで更新を実行する様にしましょう。
また、以前のバージョンのインストーラーもファイルを保存しておくことで、ご自身の状況に合わせたバージョンを選択してインストールできます。
オフライン使用時には、各種オンライン機能が足枷になる場合も
二つ目に「オフラインのPCで使用する場合は更新の確認機能をオフにする」ことをお勧めします。
初期のKiCadは、使用するPCがオンライン接続されていることを前提に開発されていました。
この名残からか、現在の単独で使用できるバージョンになってからも、フリーウェアにしてはバックグラウンドでオンラインに接続する機能が多いのもKiCadの特徴と言えます。
殆どの機能はインストールされたPCがオフラインであっても問題なく使用可能ですが、ごく一部の事例において、この自動更新をチェックする機能がオンになったままでオフライン使用していると、起動が極端に遅くなるという話を聞いたことがあります。
筆者自身がテストした環境でも以前発生しましたが、同じ環境で現在は問題なく使用できているので、残念ながら具体的な発生条件をつかめてはいません。
念のためオフライン使用が主な方は注意しておいた方が良いでしょう。
Version 8.0.5
今回のバージョン8.0.5の更新情報を確認すると、プリント基板エディターのバグ解消を中心に、新たに発生したクラッシュを引き起こす操作の防止と多少の使い勝手の向上が実行されたという構成になっています。
今回の内容を見ていると、SPICEシミュレータを使用している人については緊急性の高い問題がいくつか対処されたことがコメントされていますので、早い段階での更新を推奨します。
通常のホビー用途や小規模な回路基板設計をしている場合は、今回の更新はそれほど緊急性の高い更新内容でもないなと感じています。とりあえずインストーラーをダウンロードしておき、時間に余裕がある時に更新するくらいで問題はなさそうです。
インストーラー入手からインストールの流れを確認する
おさらいも兼ねて、最新バージョンに更新する手順を確認していきましょう。
自動更新を確認する機能をONにしておくと、KiCadを起動した時点で公式サイトにアクセスし、バージョンが新しくなっていた場合に以下のような通知が表示されます。
「このバージョンをスキップ」ボタンを押した場合は次のバージョンアップが行われるまで自動確認は行われません。
「ダウンロードページを表示」ボタンを押すとお使いのPCでブラウザが起動し、公式サイトのダウンロードページが表示されます。
このページは通常のダウンロードページと同じですので、やはりKiCadの場合はバージョンアップというよりも最新バージョンを都度インストールするという感覚の方が正しそうです。
他記事でも紹介していますが、ダウンロードサイトはご自身の使用環境、お住いの状況等で選んでください。
基本的には公式サイトのGithubか、欧州CERNのサーバーを推奨します。
インストーラーのファイルは1ギガバイトを超えますので、通信環境が安定している状況でインストーラーをダウンロードしておき、更新出来るタイミングでファイルを実行しましょう。
通常のインストールと全く同じです。そのまま続けて行きます。
利用者の選択、インストールするコンポーネントの選択なども新規インストール時と全く同じです。
インストール先の情報選択なども全く変更はなく、そのままバージョン更新作業が進められます。
バージョン8シリーズ内の更新の場合、特に意識してインストール先などを手動で変更していない限り、先にインストールされているバージョンのフォルダにすべて「上書き」されます。
これにより、これまでと同じ手順で作業できる訳ですが、それに伴うちょっとした不便さなども最近は目につくようになってきました。
この不便な点については現時点で筆者が感じている点を纏めて別記事でお話ししたいと思いますので、今後ともよろしくお願い致します。
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