今回の記事では、定期的に寄せられる「ELECROW社の製造サービスを使いたい」というご要望への解説を行います。
ELECROW社公式HP:https://www.elecrow.com/
基本的にKiCad標準ファイルでPWB製作用データはOK
まず、基本的にKiCadの標準的な手順でGerberデータを準備できれば、ELECROW社にPWB製作を発注することはできます。
ガーバーデータの作成方法や海外企業への製造サービスの方法については、以下の記事も参考にしてください。
ELECROW社の製造サービスは、FusionPCBに近い構成で提供されています。
特に、プリント基板の製造以外にも筐体や周辺パーツの3Dプリントサービス、筐体パネルをはじめとするアクリル板のレーザーカットサービスなどがあり、デバイス試作の多くを一括して発注できる点に魅力を感じているユーザーも多いようです。
海外製造サービスを利用する際の注意点を覚えておこう
具体的な手順を解説する前に、海外製造サービス利用にあたり2点の注意点をお伝えします。
1つ目は、「日本語のサポートがない」点です。
ELECROWのサポート体制は、基本的に中国語と英語の二か国語のみ対応しています。
実際に製造を依頼すると、結構な頻度で問い合わせや連絡のメールが届きます。
「日本語のメールが来たことがある」という声も聞きますが、基本は英語でのコミュニケーションとなるため、英語が苦手な方は注意してください。
2つ目は、「支払方法は、実質PayPalの現地通貨決済のみ」という点です。
以前はクレジットカード決済もありましたが、どうやらPayPalに統一されたようです。クレジットカード情報を不用意に渡さずに済むのは便利ですが、決済時の手数料が必ず発生するため、決済時の総額を必ず確認してから決済しましょう。
・・・とはいえ、中国企業なので、ある日いきなりクレカ決済の項目が復活するかもしれませんが。
また、支払い方法のページを見ていると、下段に「銀行振り込み」の項目もあります。しかし、日本からでは海外送金の日数も手数料も馬鹿にならないので、振込支払いは考えなくていいと思います。
見積入力ページを確認する
さて、では実際にプリント基板の製造手順を見ていきましょう。
公式サイトのメニューから、「PCB fab」-「Regular PCB(On-line-ordering)」の順にクリックして画面を切り替えます。
標準仕様のプリント基板の製造見積用ページに移動します。
海外製造サービスの特徴でもある、Gerberデータのアップロードボタンが先頭に配置されています。
FusionPCBのように、Gerberをアップロードすると自動的に各種設定項目に反映してくれるのかと期待するところですが、残念ながらELECROWのサービスはデータをアップロードするだけで、WEBページ下段の各項目については自分で入力する必要があります。
上から順番に「レイヤー(層数)」「寸法」「製造枚数(Qty)」「異種面付けの数(Different PCB Design)」「PCB板厚」などが選択できます。
「PCB Color」の項目ではレジスト色のみ選択できますが、シルクスクリーンの色は選ぶことができません。
表面処理については、「HASL(有鉛はんだレベラー)」が標準となっており、ほかには無鉛はんだレベラー(Lead Free)、無電解金メッキ(Immersion gold)、水溶性プリフラックス(OSP)が選択できるようになっています。
「Castellated Hole(端面スルーホール)」の有無、「Copper Weight(銅箔厚を重さで示しています)」を選択した後、製造日数(標準は4~7営業日)と送付先(受け取る国)を選択して輸送業者を決定します。
これらの設定を終えると、オーダー画面右側の「PCB Cost」の項目が計算され、金額を確認することができます。
PWBを製造するだけの場合であれば、ここまでの工程で発注ができます。
なお、オーダー画面の下側には、部品実装まで行えるようにメニューが用意されていますが、今回はプリント基板(PWB)製作手配までの紹介としておきます。
アクリルカットサービスは使い方次第?
最後に、ELECROWの製造サービスで面白いなと思った、アクリルのカットサービスについてご紹介します。
基本サービスとしては、ベクターデータを用いたカットのみ(オプション選択で彫刻も可)ですが、DXF、CDR、AIファイルによる2D線画データや、PDFによる画像データにも対応しています。
対応板厚やアクリルの色種も豊富にあるため、筐体カバーやパーツのみならず、アイディア次第ではちょっとしたグッズも作れそうです。
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