事例:乾電池式USB充電器を作る(後編)

乾電池式USB充電機の製作、今回は後編のPCBエディターで基板を作る作業からスタートして、ケースの設計迄完成させます。前編になる回路作図についても併せてご覧ください。

部品をレイアウトしてPCBを設計する

PCBエディターを起動したら、「基板を更新」アイコンを押して、割り付けられたフットプリントのデータを読み込みます。

通常の回路CADや従来バージョンのKiCADでは、回路図エディターでネットリストを作成、保存したファイルを基板エディタ―でもう一度読み込む作業が発生します。

Ver.6シリーズ以降のKiCADでは、同じプロジェクトファイル内に限定されますがこのネットリストファイルを意識して作成しなくても、回路図エディターと基板エディター間で接続情報を共有する事が出来ます。

便利な機能ではありますが、他サービスやソフトウェアにデータを共有する時はネットリストファイルが必要になりますので注意しましょう。

データを読み込んだら、フットプリントのレイアウト変更を進めていきます。

電池ボックスのデータを整える

一番大きな部品である電池ボックスを基板の裏側に配置、表側に電子部品をレイアウトして基板全体のコンパクト化を図ります。

右クリックで開くサブメニューから「配置面を変更/反転」を選択して電池ボックスのシンボルを裏面に反転させたら、続けて3Dデータの割り当ても実施します。

プロパティを開き「3Dモデル」タブを選択します。

標準ライブラリの多くは3Dデータが割り当てられていますが、今回の様に自作したフットプリントは当然3Dデータが存在しません。

メーカーや販売サイトからのデータシートを入手し、寸法図を確認しながら3D-CAD等を利用して立体データを作成します。

作成したデータをプロパティウィンドウから読み込み、向き、回転、サイズ等を編集してフットプリント上に位置合わせして下さい。

3D-CADで作成した立体データは「STEPファイル」又は「VRMLファイル」で保存します。

電子部分の3Dデータは、メーカーやインターネット上の提供サービスなどから入手する事が出来る場合もあります。

但し、ネット上に配布されているデータはその事情や性質上、寸法が違ったり形状が正しくない場合なども多く存在します。

ダウンロードした3Dデータはそのまま使用せず、必ずデータシートで寸法を確認してから読み込む様にして下さい。

バッテリーのプロパティ設定が終わったら、表面の部品配置と配線を進めていきます。

三端子レギュレータは今回ヒートシンクを使用しない方式で配置していますが、少しでも放熱の効果を高める為、レジストを経由しますが銅箔の面と接近できる様に、レギュレータ背面までゾーンで塗り潰して覆います。

レイアウトやシルクスクリーンの状態を3Dビューワーでも確認しながら作業を進めます。

PCの処理が重くなるので環境に左右されますが、簡易CGからレイトレーシング処理したレンダリング画像に切り替える事も出来ます。

回路のチェック(DRC)、レイアウトなど外観のチェックも終えて基板としての設計が完了したら、基板を収納するケースを設計する為にPCBの3Dデータを書き出します。

3D-CADに読み込ませるデータとして、STEPファイルを指定して書き出し(エクスポート)します。

最新版のKiCADライブラリとSTEPファイルで自作したデータで3Dモデルが全て割り当て出来ていれば、エクスポートしたSTEPファイルにも電子部品の3Dモデルが実装された状態で読み込む事が出来ます。

このデータを基にして固定用のケースを設計し、既製品を利用した場合でもコネクタの取り出し口を追加工する指示を作成する事が可能になります。

既製品のケースを基にして基板の形状を作り込んでいく流れで設計を行う事の方が一般的な手法かな、とは思いますが、今回は回路を最小になる様に配置してそのサイズに合わせたオリジナルのケースを3Dモデリングしました。

今回設計した基板(PWB)とケースのモデルデータは別途試作手配中です。

届き次第組み立てて動作テストを行いたいと思います。

ABOUT KiCAD MASTER

KiCADの達人
KiCAD歴15年程度。雑誌記事や教育用テキストの執筆経験等複数あり。私大電気電子工学科での指導とフリーランスエンジニアを兼業しながらFab施設の機器インストラクターや企業セミナー講師を歴任し、KiCADの普及と現代の働き方に対応した技術者育成に務める。