KiCadのデータライブラリーについて
今回は、KiCadを使用する際に欠かせない「データライブラリー」について解説します。
KiCadのライブラリー管理
KiCadを起動し、メニューから「設定」を選択すると、「シンボル」「フットプリント」「デザインブロック」の3つのライブラリー管理画面を開くメニューが表示されます。

シンボルライブラリー
プリント基板設計の前に作成する回路図では、電子部品を記号で表現する「シンボル」を使用します。KiCadには、国際規格に基づいた回路記号や代表的な半導体素子のシンボルがライブラリーとして登録されています。

基本的な電子回路であれば標準ライブラリーのシンボルで充分に描画可能ですが、JIS記号、特に旧JIS記号で描きたい場合や、企業独自のルールに沿った形状で表現しなければいけないといった場合は、「シンボルエディター」を使用してシンボルを編集、追加できます。
フットプリントライブラリー
回路図を作成したのち、次の工程としてプリント基板の設計(アートワーク・パターン設計)を行います。この際、部品や半田付け部の形状を定義する「フットプリント」が必要になります。

KiCadには、国際規格に基づいた標準的なフットプリントがライブラリーとして用意されています。ただし、メーカー独自の改良が加えられた部品では、標準のフットプリントと形状が異なる場合があります。このような場合は、「フットプリントエディター」を使って編集や新規作成が可能です。
デザインブロックライブラリー
KiCad Ver.9シリーズでは、新たに「デザインブロック」ライブラリーが追加されました。デザインブロックとは、複数のシンボルを組み合わせた特定の回路構成をひとまとめにしたものです。例えば下図のような、USBからRS232C I/Fに変換する回路構成を「一つのブロック」として登録、いつでも呼び出せるようにしておけば回路設計の効率を向上させられます。

今回追加されたこのライブラリーは、マイコンや電源回路など、周辺部品の構成が決まっている回路をブロックとして再利用したいという要望に対応するために追加された機能と考えられます。

現在、この「デザインブロック」機能については詳細を確認中です。まとまり次第、別記事にて詳しく解説しますので、お待ちください。
ライブラリー管理画面の操作方法
「シンボル」「フットプリント」「デザインブロック」の3つのライブラリーは、それぞれ専用の管理画面が用意されています。基本的な操作方法は共通です。
- 画面を開くと、読み込まれているライブラリーの一覧が表示されます。
- 「アクティブ」の項目で使用/未使用を選択できます。
- エディタ画面上での表示/非表示をチェックボックスのON/OFFで切り替え可能です。
- 画面左下のアイコンを使用して、以下の操作が行えます。
- 「+」:行の追加
- 「フォルダ」:外部ライブラリーの読み込み
- 「上下矢印」:表示順の入れ替え
- 「ゴミ箱」:ライブラリーファイルの削除

ライブラリーが表示されない場合
KiCadをインストールした後にライブラリー管理画面を開き、リストに何も表示されない、またはリストの数が極端に少ない場合は、インストール時のライブラリー追加処理が正常に行われなかった可能性があります。
最新版のライブラリーファイルは、KiCadの公式サイト経由でGitHubに公開されているため、そこから入手して更新できます。

ライブラリーの追加手順など詳細については、過去に投稿した記事も参考にしてください。
まとめ
KiCadのライブラリーには「シンボル」「フットプリント」「デザインブロック」の3種類があり、それぞれ専用の管理画面で設定が可能です。これらのライブラリーを適切に管理、活用することで回路設計の効率化が期待できます。
最新版のVer.9シリーズ対応の手順解説も順次投稿予定ですので、引き続きよろしくお願いいたします。
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