コンテンツマネージャーから入手できるライブラリーを確認しよう(2/2)

KiCadのプラグインマネージャーは、PCB設計に便利な機能を追加するためのプラグイン(拡張機能)を簡単に管理するツールです。

今回は引き続き、プラグインマネージャーで入手できる各種ライブラリーについて、後半の7種類を紹介していきます。

プラグイン&コンテンツマネージャーのライブラリー前半6種類については別記事でご紹介しているのでそちらも併せてご覧ください。

後半はちょっと変わり種が続きます

「KiKit Library」

チェコスロバキアのホビーストが作成、提供しているKiCadの処理自動化ツール「KiKit」に対応するシンボル及びフットプリントのライブラリーとなっています。

現時点ではKiKitツールで使用されるマークが登録されているのみとなっており、通常のKiCadで使用するシンボルおよびフットプリントはライブラリー内に存在していない様子です。KiKitツールを使用する、というユーザー以外はダウンロードする必要はなさそうです。

「KiCad Library for Arduino Modules」

電子工作等でArduinoベースの回路を設計、製作する方にはお勧めのライブラリーです。

KiCad標準テンプレートに含まれないマイコンボードの外形、コネクタ配置、搭載されている電子部品のフットプリントが用意されています。

通常のテンプレートでは対応シールド基板を設計する事が前提となっている為、汎用IOコネクタの配置しか用意されていませんが、このライブラリーを追加する事でカスタムボードの設計等も効率よく行えるようになります。

「Elektuur Styles Symbol Library」

前回の記事でも登場した「海外版トランジスタ技術(CQ出版)」こと「Elektor」の、オランダ版のタイトルが「Elektuur」になります。国によって初期の古いタイトルのまま継続して出版しているのもまた歴史を感じて面白いなあと思います。

前回紹介した既出のライブラリーと何が違うのか?というと「こちらが最新バージョン」という点以外は同じライブラリーだと考えてよいと思います。コメントを見ている限りでは作成者が変わっているので、おそらく担当者か担当する編集部の国が変わったなど、何らかの事情で別のライブラリーとしてKiCadに登録することになったのではないかと考えられます。

なので、「Elektor」ファンの読者の方がこれから記事の内容を再現するためにライブラリーを使用したい場合は、こちらのバージョンのダウンロードが推奨です。

「Simple Library」

名前からしてシンプルな、電子回路入門者向けとコメントされているライブラリーです。

スリランカのクリエイターさんが作成、管理されているもので、実際に基板設計まで手掛けている方が用意しているライブラリーだなあということが分かる一面として、フットプリントと関連付ける3Dモデルの収集まで行っている点が特徴的です。

ただし、大量生産を前提にした自動機向けに設計するデータとしては、一部に修整が必要である場合が見かけられましたので、学生さんやクリエイター向けのスタートアップデータとしての利用がお勧めです。

「KiMesh」

KiCadのサポート組織でもある「欧州原子核研究機構(CERN)」の、オープンハードウェアライセンス(OHL)に基づいて提供されるツール「KiMesh」とともに使用するフットプリントなどのライブラリーになります。

プリント基板への不正加工などが行えないようにする技術として「セキュリティメッシュ」があります。このメッシュ生成を簡単に行えるようにしたプラグインがKiMeshです。機密保護が重要視される情報機器の回路基板設計を行う方は、プラグインの追加と併せて導入しておきましょう。

どこかのタイミングでKiMeshについては、単体で解説をしようかと考えています。

「Nuova Elettronica Symbols Library」

今度は「イタリア版トラ技」とでもいうべき技術情報誌の出版元が適用しているライブラリーです。

技術出版社が、同社の出版物内で紹介している回路や基板を読者が簡単に再現できるように、という理由でライブラリーを編集して提供するスタイルはあちこちで見られますが、こうやって公式マネージャーに登録されるとなると、やはり広告効果も大きなものになってくるのでしょう。

日本国内だともはやCQ出版さんに期待するしかないのかなあと思いますが、

「KiCad CQ Library」とか、掲載ジャンルの幅がとんでもないことになりそうな予感がしないでもないのですが、いかがでしょうかCQ出版様?

公式サイトのライブラリーも定期的にチェックしておこう

あと最後に、KiCad公式サイトで提供されているライブラリーについても確認しておきます。

公式の標準ライブラリーについては、原則としてKiCadのバージョンアップファイルが公開された時点の最新情報に更新されています。

ですが、WEBサイト経由でリンクをたどりGithubのページを開いてみると、シンボルおよびフットプリント、3Dデータのライブラリーファイル等は結構な頻度で更新されていることが分かります。

このことからも、KiCadそのものの更新頻度を抑えている方でも、ライブラリーの更新情報は定期的にチェックして、適切なタイミングで更新、必要な追加データの入手と言ったメンテナンスを行う習慣をつけることをお勧めします。

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KiCadの達人
KiCad歴15年程度。雑誌記事や教育用テキストの執筆経験等複数あり。私大電気電子工学科での指導とフリーランスエンジニアを兼業しながらFab施設の機器インストラクターや企業セミナー講師を歴任し、KiCadの普及と現代の働き方に対応した技術者育成に務める。